ちょっとビル・ゲイツのことも見てみようかと思ったのは、Netflixのパンデミックというシリーズを見たことがきっかけだ。その中でベンチャー企業があらゆるインフルエンザに効果があるグローバル・ワクチンとでもいうべきものの開発に取り組んでいて、うまくいけばビル・ゲイツの財団から支援を受けられるかもしれないと経営者が語っていたシーンが印象的だった。マイクロソフトというといろいろと基本ソフトを使ったりしているが、OSの更新でまた不具合が出たとか、どうしてこうトラブルを起こすんだろうと否定的なイメージがある。だが、その経営者だったビル・ゲイツがインフルエンザのワクチン開発の支援を行っているとは意外だった。これは私の無知というしかないのだろうが、ビル&メリッサ・ゲイツ財団の社会貢献事業がどんなものかなんてあまり興味もなかったというのが本音のところだ。
ようやくNetflixで「天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する」を見始めて、ビル・ゲイツの印象は大きく変わってきた。OS開発でIBMを出し抜くことで成功を収めたという有名な物語もあるが、仕事熱心でスポーツ好き、勉強熱心で大胆な発想を試みる姿は好感の持てるものだった。
ビル・ゲイツは様々な問題の中でポリオを取り上げるのか。ニューヨーク・タイムズ紙の記者ニコラス・クリストフは次のように語る
ジャーナリズムの世界では、起こった事件を報道しがちだ。記者会見や爆発を報道する。日常起きていることは報道しない。日常の悩みごとなどは聞き逃してしまいがちだ。生活状況が改善されても取り上げたりしない。
これに対して、ビル・ゲイツは重要問題でありながら注目されない問題をなぜか取り上げる。彼は娘にポリオ患者の様子を見せた時、どうしてこの人を救わないのと聞かれたという。それに対するビル・ゲイツの答えは、一人の問題に対峙するのではなく、問題全体を解決するための手段を模索するのだという。その方がずっと効果が大きいからだ。
ドキュメンタリーで明らかにされたのは、ビル・ゲイツの発想が常に大きな問題を一気に解決させようと考えることにある。学校時代にポール・アレンと取り組んだ時間割問題の場合も同様だ。